犬の進化について

犬の歴史は、つねに人間の暮らしとともにありました。イエイヌの「家」というのは、つまり家畜であることを示しています。

つまり、人間との共生が前提となっている生き物なわけですね。それ以前は、狼として野生で暮らしていたということは、ご存知の方も多いでしょう。

では、いったいそこまではどのような進化をたどってきたのでしょうか。まずはその歴史を、ネコ科やクマ科、アシカといった肉食の哺乳類の共通の先祖までさかのぼってみましょう。

それが、ミアキスと呼ばれる約6,500万~4,800万年前に存在していた生物です。細く長い胴に短い脚、そして長い尾。その姿は、犬というよりもイタチなどに似ています。

現在の犬との共通点といえば、骨盤の形がよく似ていることくらい。おもに木の上で暮らして、小型の爬虫類や鳥類などを捕食していたといわれています。

そこから、約3,700万年ほど前にキノディクティスという生物に分かれます。30cm程度とまだ小型ですが、このころから地上に降り、巣穴を作って暮らしていたと思われます。

それが約3,3000万年前のキノディスムスに分かれると、かなりその姿が犬に近づいてきます。ただし、まだ尾や臀部が長く、走るのはあまり得意ではなかったと考えられています。現在でいえば、コヨーテがもっとも近いイメージでしょう。

その後、約2,300万年前にトゥスマークトゥスに分かれると、ようやく現在の犬や狼に近い姿となります。これがイヌ科の共通の先祖となり、約700万年ごろからイヌ属とともに、タヌキやキツネなどに分かれていきます。

そして、イヌ属からコヨーテやジャッカルが分かれ、最終的に犬の直径の祖先となったのがタイリクオオカミです。タイリクオオカミは現在でも生息していて、イエイヌをはじめ、ほかのイヌ属とも交配することができます。

アメリカアカオオカミ以外の狼は、すべてこの亜種です。そして、そのひとつが私たちのよく知るイエイヌというわけです。

イエイヌは現在、南極などをのぞく地球上のほぼすべてに分布するほど繁栄した生物となりました。その原因となったのは、やはり人間とともに暮らすようになったことが大きいでしょう。

しかし、同時に人間も犬というパートナーがいたからこそ、ここまで広く生きてこられたのです。犬の歴史はつねに人間とともにありましたが、逆をいえば、それは人間の歴史もつねに犬とともにあったということなのです。